初めに
中学受験を控えたお子様を持つ保護者の皆様は、「もし本番で実力が出せなかったら…」という不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
偏差値や過去問の点数が十分でも、残念ながら不合格になってしまう生徒がいるのも事実です。その原因は、体調管理や知識の定着だけではなく、「メンタル」の準備不足にあると考えています。メンタルが未発達の小学6年生にとって、中学受験は発達段階的に速すぎるからです。この記事では、中学受験におけるメンタルトレーニングの重要性を、科学的な視点から解説します。
なぜメンタルの強さが合格率を引き上げるのか
模試でA判定を取り、過去問でも合格点をしっかり取れていたにもかかわらず、本番で力を出し切れずに不合格になってしまう生徒がいます。体調管理や脳疲労の軽減を万全にしていたのに、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
その答えは、まだメンタルが未発達な小学6年生が臨む、中学受験というイベントに対するメンタルトレーニングの不備にあると考えます。
小学生の「自信」と大人の「自信」の違い
小学生に「なぜその科目が得意なの?」と尋ねると、「周りよりできるから」「みんなより点数が良いから」と、必ず他人との比較を持ち出します。一方で、大人は「長年の経験があるから」「これを続けて成功してきたから」と、自分の経験や蓄積に基づいた答えになります。
この「自信の根拠の違い」が、子どものメンタルの脆さにつながるのです。
アイデンティティ形成前の脆さとミラーニューロンの影響
他者との比較による自信は、所属するグループによって簡単に崩れてしまいます。 中学受験はそもそも学力上位層が集まるため、グループ内での変動が常に起こりえます。このため、子どもの自信は非常に不安定な側面を持っています。
また、人の脳は「ミラーニューロン」という神経細胞の働きで、無意識のうちに周りと干渉し合うようにできています。
ミラーニューロンとは |
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相手の感情をくみ取ったり、文面から他者が何を感じているか、何を思っているかをくみ取る重要なニューロンである。これは学習にも寄与している。この神経を損傷した人は感情をくみ取ることが出来なくなるだけでなく、他人の表情を識別が困難になる事例が発生している。 |
ある実験では、アイマスクとヘッドホンで外部の情報を遮断した被験者が、隣にいるイライラした人の影響で心拍数が上昇し、逆に落ち着いた人の隣では心拍数が減少することが示されました。これは、人の脳が互いに干渉し合うことを裏付けています。
身近な例で言えば、「病院に行くと気分が落ち込む」「イライラしている人の近くには近寄りたくない」「あくびがうつる」といった現象も、このミラーニューロンの影響によるものです。
受験会場に潜む「見えない悪魔」の正体
「人の脳は互いに干渉し合う」という話を前提に考えてみてください。塾講師や保護者、生徒が絶対にコントロールできないものが一つだけあります。それは、「受験当日の座席」です。近くにどんなメンタルの人が座るのかは絶対にコントロールできないということです。
受験会場には、「自信満々な人」や「極度に緊張している人」、「体調が悪い人」など様々な生徒が座っており、その空間はメンタル的に混沌としています。この雰囲気に飲まれてしまうと、本来合格できる力のある生徒が、メンタルに悪影響を受けて力を出し切れなくなることがあります。私はこれを、「受験会場に潜む見えない悪魔」だと考えています。
当塾独自の「不動のメンタル」を手に入れるメソッド
中学受験は、メンタル的に周りからの影響を受けやすい小学6年生にとって、早すぎるイベントです。受験会場に潜む悪魔を遠ざけるためには、何が起きても動じない「不動のメンタル」を身につけることが必要になります。
当塾では、冬休みの追い込みの時期に、独自開発のメンタルトレーニングを実施しています。テーマは「自己認識」です。
自分のメンタルの状態を客観的に認識する。 |
苦手な問題や周囲の環境から受けるメンタルのダメージを自覚する。 |
このようなトレーニングを通じて、受験当日にどんな状況に置かれても、自分の心の状態をコントロールする力を養います。実際に、受験当日まで合格点に達したことのない生徒が、このメソッドを活用し折れずに努力した結果、見事合格を勝ち取った例もあります。
もし、中学受験におけるメンタルトレーニングの必要性、合格率を少しでも上げる方法でお悩みの保護者様がいましたら、ぜひ当塾にご相談ください。